多剤から単剤への減薬を行います

多剤から単剤への減薬を行います

うつ病の治療を長く続けている人ほど、治療薬が多くなっている傾向があります。しかし、うつ病は「たくさんの薬を飲んで治すもの」ではありません。実は、多剤併用より単剤治療の方が効果があることが分かっています。興味のある方、薬の量でお悩みの方、ぜひ一度ご相談ください。

次々と薬が増えてしまうことも

治療薬が増えて多剤併用になってしまう原因は、症状の改善がみられないために、「では今度はこの薬を追加してみましょう」「では少し量を増やして様子をみましょう」といった具合に次々と薬が増えてしまうことがあります。患者様としては、多少の不安があっても、治療のためには受け入れるしかないというのが心境でしょう。

薬によって病気がつくられる!?

実はこの多剤併用の問題は、現在の精神科領域では重要な問題となっています。というのも、薬の副作用が起こり、さらにそれを抑えるために薬を増やす、という悪循環になっている恐れがあるだけでなく、「薬によって病気がつくられる」という医原性の問題も考えられるからです。結果、多剤併用をしている人ほど、症状が複雑化し、難治性患者になってしまうことも明らかになっています。

多剤併用がよくないことは研究でも明らかに

市ヶ谷ひもろぎクリニックでは、外来患者778人(2012年7月の1カ月間)の服薬薬剤数と、不安やうつの度合いを数値で表すひもろぎオリジナルの評価スケール、HSDSとHSASの関係をもとに、多剤併用の影響を調べた研究があります。その結果、単剤が最もHSDSとHSASの点数が低くなり、併用薬剤が多くなればなるほどうつ症状と不安症状は悪化することがわかったのです。

薬物療法は多剤から単剤の時代へ

市ヶ谷ひもろぎクリニックでは、単剤治療を推奨しています。そのため、多剤併用の患者様の場合、まず、薬を減らすことから始めます。もちろん、急にすべての薬を中止してしまうと思わぬ副作用が現れることがあるので、減薬は非常に難しく、慎重に進める必要があります。そして、本当に必要だと思われるものだけに絞って処方するのです。

多剤で治療中の方は、ぜひ相談を

例えば、18錠も飲んでいたうつ病歴13年の患者様の場合、時間をかけて薬剤を減らし、2錠にまで減らすことに成功しました。すると、薬の作用がはっきりとわかって治療がしやすくなっただけでなく、驚くほど短期間で回復に向かいました。同じようなケースは数え上げたらきりがありません。興味のある方、薬の量でお悩みの方、ぜひ一度ご相談ください。