統合失調症治療薬Brexpiprazoleに関する英文論文が海外医学ジャーナルに掲載されました

統合失調症治療薬Brexpiprazoleに関する英文論文が海外医学ジャーナルに掲載されました

市ヶ谷ひもろぎクリニックの渡部芳徳先生、大塚製薬株式会社の山田佐紀子氏、東京女子医科大学東医療センターの大坪天平先生、慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室の菊地俊暁先生の共著による統合失調症治療薬Brexpiprazoleに関する英文レビュー論文が、海外の医学ジャーナルに掲載されました。

統合失調症治療の第一選択薬としてBrexpiprazoleを用いた場合に最適であると思われる治療アルゴリズムを提案

市ヶ谷ひもろぎクリニックの渡部芳徳先生、大塚製薬株式会社の山田佐紀子氏、東京女子医科大学東医療センターの大坪天平先生、慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室の菊地俊暁先生との共著論文が、Drug Design, Development and Therapy(IF:3.216)という海外医学ジャーナルに掲載されました。本論文では、成人統合失調症の治療におけるBrexpiprazoleの有効性と安全性の概要を精神科医の視点から考察しています。

Yoshinori Watanabe, Sakiko Yamada, Tempei Otsubo, Toshiaki Kikuchi. 2020. Brexpiprazole for the treatment of schizophrenia in adults: an overview of its clinical efficacy and safety and a psychiatrist’s perspective, Drug Design, Development and Therapy 2020:14 5559-5574. DOI:10.2147/DDDT.S240859

<概要和訳>

Chlorpromazineの登場により、統合失調症患者の予後は劇的に改善したが、現在入手可能な抗精神病薬は非常に多く、精神科医が診察に訪れる患者ごとにこれらの薬の中から選択することは困難になってきている。さらに、効果的な抗精神病薬は、再発や悪化を防ぐために無期限に継続すべきであることが多くの研究で示されているが、多くの患者は、開始した薬を継続して服用することが困難であるようである。

ドパミンD2受容体部分作動薬であるBrexpiprazoleは、このような観点から、多くの利点を持つユニークな特性を有していると考えられる。具体的には、この薬は長期使用に適しており、錐体外路症状、高プロラクチン血症、体重増加、精神病、不眠症、アカシジア、吐き気・嘔吐、落ち着きのなさなどのリスクが減少し、患者の社会復帰を促進する可能性がある。

実際、Brexpiprazoleは、無作為化二重盲検プラセボ対照試験において、統合失調症の症状を改善するだけでなく、再発を予防する効果があることが証明されている。また、短期および長期の研究において、Brexpiprazoleの安全性と忍容性のプロファイルは良好であることが示唆されている。

本レビューでは、これまでの臨床試験の結果と著者の臨床経験に基づいて、統合失調症治療の第一選択薬としてBrexpiprazoleを用いた場合に最適であると思われる治療アルゴリズムを提案した。このように、Brexpiprazoleは統合失調症の治療において他の抗精神病薬よりも重要な役割を果たしているように思われる。