軽症うつ病は、抗うつ薬より、休養と規則正しい生活が重要

軽症うつ病は、抗うつ薬より、休養と規則正しい生活が重要

軽症うつ病の場合、抗うつ薬がむしろうつ症状を悪化させる可能性があることが、さまざまな臨床治験の結果から分かっています。軽症うつ病には、休養をしっかりととり、運動や食事の指導をして規則正しい生活をすることが大切。これだけでうつ症状は改善します。

プラセボの効果が徐々に上昇している?

近年、さまざまな臨床治験が行われ、うつ病の治療も日々進化しています。ただ、その中で、気になることがあります。それが、プラセボ効果の変化です。実はいま、抗うつ薬を使用した臨床治験では、実薬の効果には変化がないか、むしろ低下してきており、反対にプラセボの効果が徐々に上昇しているという現象が起きているのです。

軽症うつ病には休養・運動・食事が重要

私はその原因を、臨床治験に軽症うつ病の患者さんを多く組み入れているからではないかと考えています。というのも、症状も軽く、罹患期間も短い軽症のうつ病患者さまの場合、休養をしっかりととり、運動や食事の指導をして規則正しい生活になるだけでうつ症状がよくなることが多々あるからです。つまり、抗うつ薬を必要としない場合は多いのです。

抗うつ薬が症状を悪化させている可能性が

治験において、プラセボの効果が徐々に上昇しているのは、プラセボ薬を飲んだからではなく、休養がとれ、医師やカウンセラーにしっかりと話しを聞いてもらい、規則正しい生活をしてストレスがなくなったからだと考えます。抗うつ薬を飲まずにこれらのことを行ったことが、症状の改善にはプラスに働いたのです。逆に言えば、軽症うつ病の場合、抗うつ薬がむしろうつ症状を悪化させている可能性があるということも物語っているのです。

「臨床試験から学んだプラセボレスポンス」と題して講演

今回、このようなお話しを「臨床試験から学んだプラセボレスポンス」と題してより専門的に講演させていただきました。医師やコメディカルなどを対象とした講演会でしたが、とても興味深く聴講いただき、好評いただきました。